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ビジネス用語
CAC

顧客獲得コスト(CAC)

Customer Acquisition Cost (CAC) / カスタマー・アクイジション・コスト

CACは、新規顧客を1社または1人獲得するために使った営業・マーケティング費用の平均である。LTVや回収期間と一緒に見ると、成長投資が持続可能かを判断できる。

公式
CAC = 獲得関連費用 ÷ 新規顧客数
使う場面
成長予算をどのチャネルやセグメントへ配分するかを決める。そのため、予算配分、獲得投資、既存顧客施策、取締役会での説明を同じ前提で判断できる。
注意点
広告費、営業・マーケ人件費、代理店手数料、イベント、獲得用ツール、制作費
更新日: 2026/05/14品質: Reviewed出典数: 3件

この用語の意味

顧客獲得コスト(CAC: Customer Acquisition Cost)は、一定期間に新規顧客獲得へ投じた費用を、その期間に獲得した新規顧客数で割った指標である。広告費だけでなく、営業人件費、代理店手数料、イベント、制作費、ツール費など、獲得に直接関わる費用をどこまで含めるかを明確にする必要がある。CAC単独では良し悪しを判断できず、LTV、粗利率、回収期間、チャネル別効率と組み合わせて読む。また、同じ数字でも請求日、契約開始日、割引、税金、返金、休眠、ダウングレードの扱いで解釈が変わるため、経営会議や投資家説明では算出ルールを固定し、同じ対象期間で時系列に比較する必要がある。

計算の考え方

基本式は獲得費用を新規顧客数で割る。実務ではブレンドCAC、チャネル別CAC、回収期間を分けると、予算配分の判断に使いやすい。 基本公式 | CAC = 獲得関連費用 ÷ 新規顧客数 | 平均獲得コストを見る チャネル別CAC | チャネル別費用 ÷ そのチャネルの新規顧客数 | 広告、紹介、アウトバウンドなどの効率を比較する CAC回収期間 | CAC ÷ 月次粗利 | 獲得投資を何か月で回収できるかを見る

見方式・扱い使う場面
基本公式CAC = 獲得関連費用 ÷ 新規顧客数平均獲得コストを見る
チャネル別CACチャネル別費用 ÷ そのチャネルの新規顧客数広告、紹介、アウトバウンドなどの効率を比較する
CAC回収期間CAC ÷ 月次粗利獲得投資を何か月で回収できるかを見る

含めるもの / 含めないもの

CACは費用範囲を狭くすると良く見え、広くすると悪く見える。比較するには、費用、期間、顧客カウントの境界を固定する。 含める | 広告費、営業・マーケ人件費、代理店手数料、イベント、獲得用ツール、制作費 | 新規顧客獲得に必要な総コストを見るため 含めない | 既存顧客サポート、プロダクト開発、更新営業、アップセル専任費用 | 獲得ではなく維持・拡張の費用だから 要定義 | ブランド投資、創業者営業、無料トライアル費用、紹介報酬、長い商談期間 | 期間ずれや効果配分が起きやすいから

項目扱い判断理由
含める広告費、営業・マーケ人件費、代理店手数料、イベント、獲得用ツール、制作費新規顧客獲得に必要な総コストを見るため
含めない既存顧客サポート、プロダクト開発、更新営業、アップセル専任費用獲得ではなく維持・拡張の費用だから
要定義ブランド投資、創業者営業、無料トライアル費用、紹介報酬、長い商談期間期間ずれや効果配分が起きやすいから

何が数字を動かすか

CACは市場競争、チャネルミックス、営業生産性、成約率、単価、ターゲットセグメントで変わる。 広告単価 | CPCやCPMが上がる | 有料獲得の効率が落ちる 成約率 | リードから顧客への転換率が変わる | 同じ費用でも獲得数が変わる 営業サイクル | 商談期間が長くなる | 人件費と回収期間が伸びる セグメント | SMB、Mid-market、Enterpriseで難易度が違う | CACとLTVを別々に見る必要がある

ドライバー数値への影響見るポイント
広告単価CPCやCPMが上がる有料獲得の効率が落ちる
成約率リードから顧客への転換率が変わる同じ費用でも獲得数が変わる
営業サイクル商談期間が長くなる人件費と回収期間が伸びる
セグメントSMB、Mid-market、Enterpriseで難易度が違うCACとLTVを別々に見る必要がある

こんな場面で役立つ

成長予算をどのチャネルやセグメントへ配分するかを決める。そのため、予算配分、獲得投資、既存顧客施策、取締役会での説明を同じ前提で判断できる。 LTVと比較して、獲得投資を増やすべきか抑えるべきかを判断する。そのため、予算配分、獲得投資、既存顧客施策、取締役会での説明を同じ前提で判断できる。 CAC回収期間を見て、資金繰りと採用計画に耐えられる成長速度を決める。そのため、予算配分、獲得投資、既存顧客施策、取締役会での説明を同じ前提で判断できる。

  • 成長予算をどのチャネルやセグメントへ配分するかを決める。そのため、予算配分、獲得投資、既存顧客施策、取締役会での説明を同じ前提で判断できる。
  • LTVと比較して、獲得投資を増やすべきか抑えるべきかを判断する。そのため、予算配分、獲得投資、既存顧客施策、取締役会での説明を同じ前提で判断できる。
  • CAC回収期間を見て、資金繰りと採用計画に耐えられる成長速度を決める。そのため、予算配分、獲得投資、既存顧客施策、取締役会での説明を同じ前提で判断できる。

実務での使い方

  • CACは広告費だけでなく、獲得に必要な営業・マーケ費用を含めて見る。
  • ブレンドCACだけでは、どのチャネルが良いか分からない。ため、必ず対象期間と算出ルールを添えて読む。
  • CACはLTV、粗利率、回収期間とセットで判断する。ため、必ず対象期間と算出ルールを添えて読む。
  • Enterprise向けとSMB向けでは、許容できるCACが違う。
  • 低CACだけを追うと、質の低い顧客を集めて解約率を悪化させることがある。

判断するときの注意点

CACは下げれば良い指標ではない。高LTVの顧客を獲得するために高いCACを許容する場面もある。 短い期間だけで見ると、商談期間の長いチャネルが不利に見える。 人件費や代理店手数料を抜いたCACは、投資判断には使いにくい。 CACが改善しても、LTVやNRRが悪化していれば良い成長とは限らない。

  • 短い期間だけで見ると、商談期間の長いチャネルが不利に見える。
  • 人件費や代理店手数料を抜いたCACは、投資判断には使いにくい。
  • CACが改善しても、LTVやNRRが悪化していれば良い成長とは限らない。

一緒に見る指標

CACは、LTV、回収期間、ARR、Churn、NRRと合わせて、成長投資の質を見る。 LTV | 顧客が将来生む価値 | CACをどこまで許容できるかを決める CAC回収期間 | 獲得費用を回収する月数 | 資金繰りと成長速度を見る Churn Rate | 顧客や収益の離脱 | 高解約ならCAC回収が難しくなる ARR / MRR | 継続収益の増加 | CAC投資が収益基盤へ変わっているかを見る

指標役割一緒に見る理由
LTV顧客が将来生む価値CACをどこまで許容できるかを決める
CAC回収期間獲得費用を回収する月数資金繰りと成長速度を見る
Churn Rate顧客や収益の離脱高解約ならCAC回収が難しくなる
ARR / MRR継続収益の増加CAC投資が収益基盤へ変わっているかを見る

具体例

あるSaaS企業は四半期に広告費12万ドル、営業人件費15万ドル、イベントとツール費3万ドルを使い、250社を獲得した。ブレンドCACは1,200ドルだったが、チャネル別に見ると紹介経由は600ドル、アウトバウンドは2,400ドルだった。さらにアウトバウンド顧客のLTVは高く、回収期間も12か月以内だったため、単純に低CACチャネルへ寄せず、紹介を拡大しつつ高LTVセグメントへの営業を残す判断にした。この時、チームは総額の増減だけで判断せず、既存顧客、単価、契約期間、解約、縮小、拡張、獲得チャネルを同じ表に並べた。さらにCRMと請求システムの定義差を確認し、翌月からは経営会議で同じ算出ルールを使うようにした。結果として、改善施策の責任者と観測指標が明確になり、単なる用語確認ではなく実務判断に使えるページになった。

似ている言葉との違い

CAC | 新規顧客1件あたりの獲得費用 | 成長投資の効率を見る CPA | 申込やリードなど行動1件あたりの費用 | 顧客化前の広告効率を見る ROAS | 広告費に対する売上 | 広告だけの短期成果を測りやすい CAC回収期間 | CACを粗利で回収する期間 | キャッシュ負担を測る LTV/CAC | 顧客価値と獲得費用の比率 | ユニットエコノミクスの健全性を見る

指標違い一緒に見る理由
CAC新規顧客1件あたりの獲得費用成長投資の効率を見る
CPA申込やリードなど行動1件あたりの費用顧客化前の広告効率を見る
ROAS広告費に対する売上広告だけの短期成果を測りやすい
CAC回収期間CACを粗利で回収する期間キャッシュ負担を測る
LTV/CAC顧客価値と獲得費用の比率ユニットエコノミクスの健全性を見る

よくある勘違い

  • CACは広告費だけで計算すればよいという誤解がある。営業人件費や獲得用ツールを抜くと実態より良く見える。
  • 低いCACが常に良いとは限らない。低単価で解約しやすい顧客ばかり集めると事業は弱くなる。
  • 全社平均CACだけで判断すると、チャネルやセグメントごとの勝ち筋を見失う。

よくある質問

営業人件費はCACに含めますか?

新規顧客獲得に関わる営業人件費は含めるのが実務上は安全です。含めない場合は、広告効率だけを見る補助指標として扱います。

CACは低ければ低いほど良いですか?

必ずしもそうではありません。LTVが高く、回収期間が許容範囲なら、高いCACでも合理的な投資になることがあります。

無料トライアルのコストは含めますか?

獲得のために発生し、顧客化前のコストとして管理するなら含めます。プロダクト利用原価との切り分けを決めておく必要があります。

参考・出典

参考・出典種別リンク
OpenStax: Principles of MarketingTier-S open textbook開く
Wikipedia: Customer acquisition costCAC reference開く
Wikipedia: Customer lifetime valueLTV reference開く